聞いて、姉貴
「りく、遊ぼっ」
「りく、おうちの中でもサッカーできるんだよ」
「りく」
「りく」
何も出来ない弱虫な俺を少しも責めることなく、いつだって笑いかけてくれた姉貴。
その太陽みたいに明るい笑顔に、何度励まされ、何度元気をもらったか。
過保護な両親。
狭い鳥かご。
そんな窮屈な世界から救いだしてくれたのは、紛れもなく、血の繋がった実の姉貴で。
いつの間にか、俺にとってかけがえのない、世界で一番大切な人になっていた。
それが恋だと知るのは、まだ少し先の話───…。