聞いて、姉貴
自慢の弟
『陸、迎えに来て!』
あの一件がまるで嘘だったかのように、相変わらず姉貴は何かある度に俺に泣きついてきた。
「電話、誰?」
「んー、姉貴。なんか傘忘れたらしい」
「まったく、あの子は」
呆れ顔の母さんに、俺も曖昧に笑ってみせる。
「傘ぐらいコンビニで買いなさいって言っておきなさい」
「…いや、でも俺暇だし…」
「陸、アンタは真弥を甘やかしすぎ!いくらお姉ちゃんだからって何でも言うこと聞かなくてもいいのよ」
「ッ別にそうゆう訳じゃ…」
慌てて否定する。
つーか俺、今までそんなに姉貴を甘やかしてたか?
確かに、今までもこんなことが幾度もあったけど。