聞いて、姉貴
駅から程近いコンビニの前で、姉貴の姿を見つけた。
「姉…、」
声をかけようとした瞬間、アイツの異変に気づく。
男三人に囲まれ、姉貴はオロオロと困っている様子だった。
──誰だ?友達か?
不思議に思いながらも、パシャパシャと水溜まりを跳ねてかけ寄る。
すると。
「り、陸!」
ホッとしたように、姉貴が俺を見上げる。
「…チッ。何だよ男連れかよ」
「つまんね。行くぞ」
俺の姿を見た瞬間、男たちは地面に唾を吐きながら捌けてしまった。
──何だよ。
ナンパ野郎か。
「平気?」
男たちの背中を見送ったあと、姉貴に視線を移す。
「…陸、怖かった…」
──ドキッとした。
何つー目で俺を見上げてんだよ。
まるで捨てられた子犬のように、瞳をウルウルさせやがって。
思わず抱きしめたい衝動に駆られたけど、ギリギリのところで自身に制止をかけた。