聞いて、姉貴
「だいたいなんで外で待ってんだよ。中で待ってろっつっただろ」
「…だって、陸がすぐ分かるようにって思って…」
怒られたとでも思っているのだろうか。
シュンと肩を落とし、姉貴は小声で呟いた。
「…そっか。でもこれからは絶対外に出んなよ。ここのコンビニはヤツらの溜まり場なんだから」
出来るだけ穏やかな口調でそう言ってやると、
「……うん。ありがと陸」
ようやく姉貴の顔に、笑顔が戻った。
なんつーか…見てて飽きない。
「ほら、帰るぞ」
はい、と姉貴のピンクの傘を差し出す。
「……」
「?」
何故か、なかなか受け取ろうとしない姉貴。
そして。
何を言い出すかと思えば。
「たまには陸のに入れてよ」
「…はぁ!?」
な、何言ってんだ?
「たまには良いじゃん。姉弟水入らずで。ね?」
「い、いいよ恥ずかしい……」
…って、言ってるそばからちゃっかり俺の傘に入ってきやがった。