聞いて、姉貴
時々触れる肩に、ドキッとする。
全神経がそこに集中して、正直会話どころじゃなかった。
「陸濡れてるじゃん。ちゃんと入ってる?」
「は、入ってるよ」
ったく…人の気も知らずに。
昔からそうだった。
姉貴は、無意識のスキンシップが多いんだ。
──いつだっけか。
二人でホラー映画のDVDを観ていた時も。
『ギャアー!!』
なんて野太い声出しながら、俺の腕にすがりついてきたりして。
ピットリと密着した腕に、俺がどれだけ理性を保つのに苦労したことか。
…でもまぁ裏を返せば、姉貴が俺を1mmも意識してない証拠なんだろうけど。