聞いて、姉貴




「陸!アンタって子はまた真弥を甘やかして!」


家に帰ると、案の定母さんは眉間に皺を寄せていた。


「陸は悪くないでしょ!あたしが頼んだんだから!」


バチバチッ。

二人の間に火花が散る。


「…あー、もういいから。風呂入ってくる」


そう言って、雨に打たれて濡れた髪をいじりながら、リビングを出ようとした時だった。


「あ、陸」

「なに?」

「髪!今日はあたしが乾かしたげようか?」

「はぁ?」


何言い出すんだコイツ。

しかも、母さんの前で。


「たまには良いじゃん。弟孝行させてくれたって」


「…いい。つか、迷惑」


ただでさえ、お前が近くに居るだけで心臓がやばいのに…

少しでも触れてみろ。
今度こそ抑えが効かなくなる。


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