聞いて、姉貴
アイツの男
「…おかえり」
「た、たた、ただいま!」
その日の姉貴は、明らかにいつもと違った。
いつも側で見てきたんだ。
俺が異変に気づかないはずがない。
家に帰るなり、姉貴は俺とロクに目も合わさずに自分の部屋に閉じ籠った。
頬を真っ赤に染めたまま。
その時、俺は悟ったんだ。
……あぁ。
──『アイツ』と何かあったんだな、と。
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