聞いて、姉貴
気づけば、膝小僧からは真っ赤な血が滴り落ちていて。
慌ててかけ寄ってくる先生たちを見た瞬間、俺は泣いた。
「陸くん。大丈夫?」
「今、手当てしてあげるからね」
そう言って手を差しのべてくれる先生たち。
だけど。
「待ってください!」
姉貴の声が、それを制止した。
「陸はまだ走れます!走れるよね?陸」
「…っく。無理、だよ」
泣きじゃくりながら訴えた。
「どうして!最後まで走るんでしょ!」
それでも姉貴は、引き下がらない。
「真弥ちゃん、無理よ。陸君の骨は脆いの。骨折が完治したばかりなの、知ってるでしょう?」
見兼ねた先生が説得しても、姉貴はガンとして俺の前に立ちはだかったままだった。