聞いて、姉貴
黙りこんだ俺を見て、姉貴は不安そうに眉を下げるばかり。
……俺は、つくづくどうしようもない男だ。
姉貴に…好きな女に、こんな顔をさせちまうなんて。
「陸?どうしたの?」
「…うるせ。あんまり感動して、言葉が出なかったんだよ」
──我ながら、下手な嘘だ。
それでも姉貴は、一瞬キョトっと目を丸くしたあと、
「…陸ーっ!!」
もう、それはそれは嬉しそうに、抱きついてきたんだ──。
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