聞いて、姉貴
「何とでも言えば?」
「ふん!可愛くない」
──可愛くなくて結構だ。
そもそも可愛い…なんて、男として意識してない証拠だろ。
昔から俺は、姉貴の言う「可愛い」が大っ嫌いだった。
チラ…っと、鏡越しに姉貴を見る。
慣れた手つきでアイロンを当てるその横顔に、深くにもドキッとしてしまう。
いつの間に…こんな大人びたんだろう。
化粧のせいもあるかもしれないけど、そこにはもう、昔の男勝りな姉貴の姿は無かった。