聞いて、姉貴
それでも姉貴は、
「良かった!ありがとう」
なんて大袈裟に喜びやがる。
そんな姉貴を見てるのが余計に辛くて、俺は視線を反らした。
「じゃあ行ってくるね。夕飯までには帰ってくるから」
「…夕飯も、ソイツと食ってくりゃいいじゃん」
……俺はガキか。
自分自身に嫌気が差す。
言いたくないのに。
そんなこと、微塵にも思ってないのに。
勝手に口から出てしまう。
「いいの!夕飯ぐらい、陸と一緒に食べたいし」
……ほら。
お前がそうやって、俺の心を掻き乱すから───。
「…あっそ。」
分かってる。
弟として、姉貴が俺を大事に思ってくれてること。
結局は俺を…家族を優先してくれる姉貴。
だけど今は…それが辛い。
余計な気使いも、思いやりも、
俺にとっては、ただの気休めにしか過ぎないのに。