〈実話〉いつの日か…
親と一緒に荷物を取りに行った。


『カツ君大丈夫?愛弓が居ないからって落ち込まないのよ!ご飯も食べなさいよ。』


『はい…』


私は、なかなかカツにかける言葉が見つからない。


さっきまでの決意も揺らぐ程カツは元気がなかった。


話す事もなく黙ってうつ向きながら座ってる


しかも、うっすらと涙が…


見る事がないカツの涙


私は本当にいけない事をしてる…


揺れる私…


負けたら駄目


わかるけどカツの姿が私を揺さぶる…


なんでだろう?


好きなんて気持ちも何もないのに


やっぱり長い付き合いだったから情が湧いてるんだね…


見てると本当に辛い…


私はカツをなるべく見ないようにした。


カバンに荷物を入れ終わりカツに 『じゃあ行くね。ご飯しっかり食べてね…』


『おぅ!大丈夫。愛弓も早くに良くなるといいね…』


明らかに無理してつくった笑顔…


そんな元気ないくせにカツは笑いながら言った


精一杯の笑顔で…


顔は少しひきつってたけど。


そして私は家を出た。


私がこの家で生活する事はなかった。


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