〈実話〉いつの日か…
私達はカギを手に取り不動産を出た。


『愛弓が本当に出たいならお金出すよ!』


『そんな事してもらえないから!』


『俺ちょくちょく遊びに行くし(笑)この住所だと俺の実家と近いと思うし。』


『出来んよ。親に頼んでみるから。』


『いいんだって!俺がそうしたいの!せっかく言ってんだから。恥かかせんな…』


私は何も言えずに黙った。


どこまで優しいの?


せっかく貯めたお金を私に使ったらもったいないよ…?


ジャンボの思いが伝わる


『こんな状況で言っていいかわからんけど、俺好きだよ。』


『うん…』


『女なんていらねぇって思ってたけど愛弓ならって思えるし。』


『うん…』


『愛弓が嫌なら返すって形でもいいし。それならいいだろ?』


『それなら、まだ気分的に少し違うかも。』


ジャンボの告白…


嬉しかった。


でもカツの事を考えると素直に喜べない。


またつけてたりしたらジャンボに何するか…


まだカツの怖さがしっかり残ってる。


普通の人だったら、そこまで気にはしないだろう。


私は、少し普通と違う結婚だし普通と違う相手だし…


もしジャンボに何かあったらって思うと…


離婚してからも、こんな恐怖を感じながら生活するなんて。


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