この青い空を
楓ちゃんって本当に最低だ。
金で人を束縛するなんて…。
「楓ちゃんが、颯斗の人生壊したんじゃないの??」
絶対楓ちゃんが壊してる…。
確かにあたしも壊したかもしれない。
でも、楓ちゃんの方が酷い。
「はぁ??颯斗はあたしのモノだし。いちいち文句言わないでくれない??」
「颯斗はモノじゃないよ」
「あ、そ。じゃあね!!」
そう言って、楓ちゃんは去っていった。
婚約…かぁ。
あたしと颯斗にとっては、遠い存在だったなぁ。
「陽奈…大丈夫??」
「うん。大丈夫」
あたしは、一生懸命笑顔を作る。
本当は全然大丈夫じゃない。
無理してる。
でも、桜に迷惑掛けたくない。
「あたしが望んだことが、こんなに早く叶っちゃった」
「望んだこと??」
そう、あたしが望んだもの。
それは、確かに今、ここに存在した。