この青い空を
この後の話は、いい話ではないこと分かっていた。
でも、聞かずにはいられなかった。
「長くなるんだけどさ…」
そう言って、颯斗は話し始めた。
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時間はさかのぼり…俺が小学校の高学年の時。
俺の家は、そんなに裕福ではなかった。
どちらかといえば、貧乏な方。
お小遣いなんて、たまにしかもらえなかった。
それも、缶ジュース1本買えるか買えないか…。
でも、使えなかった。
親父とお袋の為に、こっそり溜めていた。
貧乏だけど、それでもそれなりに楽しい日々を送っていた。
でも、そんなときに悲劇が起きた。
俺がいつも通り寝ているとき、誰かのすすり泣く声が聞こえた。
こんな時間に誰なんだ…。
俺は不思議に思い、リビングの方に行ってみた。
扉の隙間から覗くと、お袋がうずくまって泣いていた。
俺は、何故か行くことが出来なかった。
足が硬直していたんだ。
その日はそのまま寝た。