この青い空を



みんなには、当たり前だと思われるかもしれないが、貧乏な暮らしをしてきた俺にとっては、とても豪華に感じたのだ。



俺の一生懸命貯めたお金は、10000円を超えていた。


俺は、ちょっとだけだけど、お袋に会いに行って金を渡していた。


お袋は弱々しい体で、「いらない」と言ったが、それでも無理矢理渡した。



でも、だんだんそのお金が減ってきているのに気づいた。


親父が、酒に使っていたのだ。



俺は、許せなかった。


幼い頃から、頑張って貯めてきた金をあんなクソ親父に使われるなんて…。



それから、俺は親父を更に憎むようになった。


金の場所を変えた。



親父は金の場所を変えたのに気付いたのか、



「颯斗のお金、預かっておいてやろうか??」



と言ってきた。



「……ッ…」



俺は、下唇を噛んで睨むしか出来なかった。



こんなクソ親父に…


こんな最低野郎に…


こんな女好きに…



俺の気持ちなんて分かるわけない。



俺は何度も家出をした。


友達の家や、お袋の家に。



< 154 / 237 >

この作品をシェア

pagetop