この青い空を



「大丈夫。俺がいるから。それに、幽霊なんて、全部偽物だって」


「うん…」



あたしは、颯斗にくっついたまま、お化け屋敷の列に並んだ。



「次のカップルさん、どうぞ〜♪」



カップル…。


懐かしいな。



あたしと颯斗も、カップルだったんだよね…。


でも、もうカップルじゃないし…。



そう思うと、凄く虚しさが込み上げてきた。



「陽奈。しっかり捕まっとけよ」


「うん」



あたしは、颯斗に腕にしがみついた。



中は真っ暗だった。


たまに、ライトがあるだけ。



女の人のすすり泣く声や、不気味な声が聞こえてくる。



扉があたしたちの前に、立ちはだかっている。



「開けるよ??せぇ〜の」



あたしのかけ声で扉を開けた。



「キャーーーーーー!!」



いきなり、人形が倒れてきた。



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