この青い空を



「もう1回…」


「はいはい」



何回やっても颯斗はボロ負け。


そんな負けず嫌いな颯斗が、凄く可愛かった。



そして…



「ヤッター!!」



この後、10回くらいやらされて、やっとあたしが負けた。



「颯斗って弱いんだね…」



あたしは笑いを堪えながら言う。



「うるせぇ…」



颯斗がすねた。


そんな姿も、たまらなく嬉しかった。



そうしているうちに、日が暮れてきた。



「そろそろ帰るか??」


「うん!!」



あたしは、颯斗の後ろに飛び乗った。



颯斗の後ろ髪が風になびく。


その度にほんのり匂う、レモンみたいな香り。



家に着いてほしくなかった。


まだ、颯斗と一緒にいたかった。


いつもそうだけど、何故かこの時は特別…。



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