この青い空を



病院に駆けつけると、母親らしき人がポツンと椅子に座っていた。


父親らしき人は何処にもいなかった。



「こんにちは。颯斗の彼女の水野です」



あたしは、ペコリと頭を下げた。



「颯斗の母です…」



颯斗のお母さんは、涙をいっぱい溜めていた。



「また、あんたなの…」



その横には、楓ちゃんが座っていた。



「あんたはいっつも、颯斗の大切なものを奪う!!いい加減にして!!もう二度と颯斗に会わないで…」


楓ちゃんが狂ったように、泣き叫ぶ。



「楓ちゃん…」



颯斗のお母さんは、静かに呟く。



「陽奈ちゃん…ゴメンね。しばらく、颯斗と会わないでくれる??」


「………」



嫌だよ…。


確かに、颯斗が事故に遭ったのは、あたしのせいかもしれない。


確かに、あたしと颯斗が、あの日会っていなければ、こんなことにはならなかったかもしれない。



だけど、颯斗の放っておけない…。



「陽奈、今日はもう帰りましょ…」


「………」



あたしはお母さんに連れられて、車に戻った。



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