この青い空を


桜は首を傾げながら、あたしを見る。



「赤ちゃんに罪はないんだよ??ただ勝手に出来たって考えはおかしいと思う」


「じゃあどうするの??産むの??父親は翔さんってことになるの??」



桜は酷く興奮している。



「分かんない。知らない人にも入れられたから」



翔さん以外に数人男がいた。


でも、全然知らない人だし、恐怖感がいっぱいで顔すら覚えていない。



「生理は??ちゃんと来てる??」


「この前なったばかりだし分かんない」


「じゃあ…ちゃんと産婦人科に…」


「そうだよね…」



でも自分でカッコつけた台詞言っても実は怖い。


確かに赤ちゃんには何の罪もない。


昔お母さんが教えてくれた。



『赤ちゃんは幸せになるために、産まれてくるのよ』



って。


確かにその通りだと思う。


でも赤ちゃんの顔を見るのが怖い。


もし、その赤ちゃんが翔さん似なら、あの日のことを嫌でも思い出してしまう。


あたしは一体何がしたいんだろう??


あたしは本当はどうしたらいいんだろう??


でもそこに答えはない。


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