この青い空を
三章

新たな気持ち



コンビニの中に一端戻ると、あたしはビニール傘を買った。


残り少ない小遣いで、しぼんだ財布をポケットの中から取り出す。


あたしは、レジのお姉さんに小銭を渡すと、コンビニを出た。


予想通り、ポツポツと静かに雨が降ってきた。


色々な音やリズムで音楽を作っている雨。


わりと雨の日も嫌いじゃない。


どっちかと言えば、好きな方だ。



「冷た…」



傘から出した手を慌てて腰の横に戻す。


あたしは何処からか匂ってくるコンクリートの匂いと共に家へと帰った。



「ただいま…」


「おかえり、陽奈」



学校に行ってないことぐらい知っているクセに、お母さんは何も聞いてこない。


もう、お姉ちゃんから、レイプのことを聞いたのだろうか。



「陽奈…ちょっと話があるわ」



珍しく、お母さんにリビングの机へと座らされた。



「お姉ちゃんに全部聞いたわ。辛かったのね」



お母さんは目に涙を浮かべている。


お母さんの涙は初めて見た。



「でも…そのまま立ち止まっててもしょうがないわよ。学校にはちゃんと行きなさい」


「分かってるよ。ちゃんと明日からは行くし」



冷たく言い放つ。


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