この青い空を


昼休みに、あたしと桜は弁当箱を持って、いつも通りに屋上へ向かおうとした。


あたしは、弁当箱なんてなかったから、購買でパンを買うことにした。


その時ーーーー…



「陽奈!!」



海斗先輩の声がした。


幻聴かと思ったけど、あの声は確かに聞こえた。


ドアの向こうに、海斗先輩が息を切らしながら立っていた。


もしかしたら、あたしのために走ってきてくれたの??


そんなギャップにすごくドキッとした。


その時思った。


あたしの先輩に対しての気持ちは、颯斗を超えているんだって。



「陽奈行って来なよ!!あたしは、違う友達と食べるし」


「え…でも…」


「大丈夫だから」


「じゃあ…」



お言葉に甘えて、あたしは先輩の元へと走った。



「ちょっと心配になったから…来てみた」



先輩は照れたように、頭を掻きながら言った。



「先輩…あたし、今なら返事出来ます」



今なら迷わない。


ちゃんと言える。


先輩が好きだって。


ちゃんと伝えられる。


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