この青い空を
「陽奈…久しぶり」
颯斗が話しかけてきた。
こんな最低な女に話しかけて来てくれるの??
あたしは、涙が出そうになったけど、グッと堪えた。
「じゃあ…先行ってるね。正面玄関のところで待ってるから」
桜は自分が邪魔だと悟ったのだろう。
あたしは、静かに頷いた。
桜は、小走りで玲央のところに行ってしまった。
「元気か??」
颯斗が寂しげな表情であたしを見る。
「う、うん」
顔がまともに見られない。
あたしは、いつの間にこんなに颯斗のことを好きになっていたんだろう…。
「あの…えっと…彼女は上手くいってる??」
話す内容がなくて、自分なりに一生懸命に考えた言葉。
「おう。陽奈は??」
「うん。超ラブラブだよ!!」
あたしが言うと、颯斗は俯いた。
あたしは何が言いたいのだろう。
こんなこと言ったって、颯斗が喜ぶハズないのに…。