カレイドスコープ〜先生を想う日々〜

授業が終わると、私はすぐに千鶴を呼んだ。


「それで、さっきの続き教えて。」


「うん。なんかね、伊原さんフラれたらしいよ。先生に。」


周りに聞こえないくらい小声で言った。


「えっ！」


驚きで思わず声が出てしまい、あわてて口を手でおさえた。


「さっき、教室に入って来た時、そんな話をしてるのが聞こえたから。」


私は伊原さんの方を見ると、友達と一緒に教室を出ていってしまった。


いつもだったら、他の女の子たちと交ざって先生と休み時間ギリギリまで話をしているのに…。


今日は、その輪の中に入らないんだ…。


「愛菜、ライバルが1人減ったじゃん。」


「ライバルって……」


先生を好きな子は、たくさんいる。


きっと女子生徒だったら、ほとんどの子が好意をもっている。


伊原さんが“ライバル”なら、みんなライバルになっちゃうよ。


先生はどんな女の子がタイプなのかなあ…。