カレイドスコープ〜先生を想う日々〜
「あ、千鶴。ちょっと待ってて。」


私は課題プリントを先生に提出しに行った。


まだ女子生徒に囲まれている先生。


普段は、輪の中に入っていく勇気はないけれど、今日はプリント出さないといけないし…。


「入江先生!」


囲む女の子たちの後ろから、思い切って呼んだ。


「三咲、どうした?」


先生はすぐに気付いてくれた。


「昨日、出せなかった課題です。」


輪の中に入って先生に渡した。


「残りの問題分かったか?」


昨日、先生に教えてもらったことが頭に浮かぶ。


「バッチリです!」


胸のあたりで小さくOKサインをした。


「そっか。じゃあ後で目を通すよ。」


「お願いします。」


私は、女の子たちの輪から出て、千鶴と教室を出た。


< 142 / 225 >

この作品をシェア

pagetop