カレイドスコープ〜先生を想う日々〜

「これ、渡したの俺なんだ。」



「えっ!!」



先生が私にくれた…?



驚いてしまって、それしか言葉が出てこなかった。



「俺が大学生の頃だったんだけど、お祭りに友達と行って、途中はぐれてさ。探している時に泣いてる小さな女の子に会ったんだ。」


それが私…。



「迷子みたいでさ。少しでも笑顔になってくれたらって思って、持っていた万華鏡をその子に渡したんだ。そしたら、まもなくしてお母さんが来て、その子も嬉しそうだったな。」



懐かしそうに話す先生。


私は、先生をずっと見ながら聞いていた。



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