カレイドスコープ〜先生を想う日々〜
「…あの時の女の子が三咲だったんだな。俺もこの万華鏡をしっかり見るまで、気付かなかったよ。」



先生は申し訳なさそうに頭をかいた。



「先生、なんで自分の万華鏡だって分かったんですか?」


「小さい頃から大切に持っていたし、何より決定的なのは、これだよ。」


先生が少し万華鏡を手の上で回した。



「ほら、ここに小さく“K”って彫ってあるだろ?昔、自分で彫ったんだ。宏介の“K”をね。」


確かに小さく彫られている。


私、ずっと持っていたのに全然気付かなかった。



私はじっくり先生の彫った“K”を見つめた。



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