カレイドスコープ〜先生を想う日々〜
「…お母さん…どこ…?」
泣きながらお兄さんに聞いた。
「そっか。迷子になっちゃったんだな。」
お兄さんは少し近くを探してくれたけど、見つからなかった。
ずっと泣き続ける私を見て、お兄さんは私に小さな万華鏡を差し出してくれた。
「これ、あげるよ。中、のぞいてみなよ。」
言われるままに覗き込むと、幻想的な世界が広がっていた。
「すごーい!きれい!」
いつの間にか涙が止まって、万華鏡に夢中になっていた。
「お母さん、きっと見つかるから、もう泣くなよ!」
お兄さんは、にっこり笑って、私の頭を撫でてくれた。