カレイドスコープ〜先生を想う日々〜
「そうだ。先生こそ、万華鏡まだ持ってますか?」


今度は私が聞いてみた。


「持ってるよ!」


先生は化学室の入り口の扉まで行くと、手招きした。

私は先生の後について、理科準備室に入った。


柊先生は不在で、あの時と同様、2人だけだ。


先生は引き出しの中から、万華鏡を取り出した。


「ほら!ちゃんと持っているだろ?」


先生の手に握られた万華鏡は沈んでいく太陽の細い光を浴びて輝いてみえる。


「先生、いつも万華鏡のぞいているんですか?」


「そうだな…時間がある時に見るよ。授業がない時とか…息抜きにな。」


へえ…。息抜きしている先生も見てみたいな。


「先生の万華鏡は大きめだから、中に出来る模様も細かいですよね。」


「そうなんだよな。三咲も万華鏡が好きなんだな。」

「…はい。」


万華鏡よりも何よりも先生が一番好きだけどね。


「俺、三咲みたいな可愛い生徒と万華鏡の話出来るなんて思ってもみなかったよ。」


か…可愛い!?


今、可愛いって言ったよね!私のこと。


顔が真っ赤になっているんじゃないかと思うほど熱くなった。



可愛いって言われることがこんなに嬉しいことだなんて、思ってなかったよ。



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