カレイドスコープ〜先生を想う日々〜
合唱部の練習は午前中で終わった。


「早く行って来なよ!」


軽く背中を押され、体育館に脇目もふらずに走った。

今日は、体育館の扉は閉まっている。


隙間から中を覗くと、暑い体育館の中で、バレー部が練習に励んでいた。


でも先生の姿は、見当たらない。


今日は来てないんだ…。


心がしぼむような感じがした。


「あれ?三咲じゃないか。」


左を見ると、水飲み場の横で、汗をタオルで拭きながら休んでいる先生がいた。

「入江先生!!」


心臓が飛び上がるほど、びっくりした。


てっきり体育館の中にいると思ってたため、そちらに気が向いていて視界に入っていなかった。


先生、今日はいつもの黒いジャージじゃなくて、ネイビーのジャージだ。


どっちも似合ってるね。



< 89 / 225 >

この作品をシェア

pagetop