キミのトナリ
第九章:1人ぼっち
あれから
隼人はもう
追いかけて来なくなった。
一人きりで
歩道橋を歩く。
もう何がなんだか
解らなくなる。
隼人の事
不倫の彼の事
幸子の事。
もう
誰も信じられない。
アタシは
どうしたら良いの?
隼人を失うのが怖い。
でも
隼人の事考えたら
隼人が幸せになれるのならば
アタシは
隼人から身を引こう。
多分
アタシは誰も
幸せに出来ない。
もう
自信なんて
どこにもなかった。
隼人とやり直す
自信もない。
許せる自信もない。
途方もなく
歩いている。
飲みに行く気力もない。
きっと
誰も助けてくれない。
自分の部屋に入ると
床に座り込み
ただただ
涙をこぼしている。
隼人の裏切り。
その事しか考えられない。
その時
インターホンがなった。
アタシは
ドアを開ける気力さえも
残ってなかった。
「磨美。お願い
ドアを開けて。」
隼人の泣きそうな声。
「お願い。
帰ってよ。
何も聞きたくない。」
涙混じりの声が
この部屋に響く。