キミのトナリ

そう
アタシか弱くない!
だから
前に進むように努力しなくっちゃ!!

まず自分磨きから
始めよう!!


あんなやつ
忘れよう。
忘れてしまおう…

とりあえず駅のトイレで
擦りむいた膝小僧と
網タイツなんとかしなきゃねッ!!



ジャーー


水道でハンカチを濡らす
「痛いっ!」
やっぱりヒリヒリするよ。
今のアタシの心と同じ。

鏡に写る顔
最悪。

早く心の傷をケアしなくっちゃね。



…でも…
やっぱり今思い出すのは彼の顔だけ。


初めて会った時を思い出す。

彼は35歳の若さでデンタルクリニックの院長。
アタシは、そこの受付だった。

まだ真新しい一戸建てみたいなクリニックに面接に来たときは
当たり前のことだけど
今の自分を想像出来てなかった。


面接のその日は夏日で
クリニックの扉を開いた瞬間
貧血で倒れたんだっけ(笑)
気がついた時には
イスに横になってて
額には冷たいハンカチが掛けてあったんだ。


アタシを運んだのも
アタシにハンカチ置いたのも彼だった。

すぐに恋に落ちた。


つきあったのは
その年の秋だった。


幸せだった。

告白したのはアタシだった。
もう
我慢できなかったから(笑)

それから
迷惑かけたくなくて、
仕事を辞めた。

きっと今の好きな子は
アタシが職場を離れた後に知り合った子なんだろうな。

「はぁー」
また
溜め息が出る。


早く前に進みたいな。
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