キミのトナリ


「あの後
フランスに修行に行った。
どうしても磨美が
受け入れてくれなかったから

でも
一人前になったら
迎えに行こうって
思ったんだ。

だけど
フランスから
帰ってきて

あの家に行ったら
磨美が引っ越して
歩道橋も無くなってた。

探したよ。」
隼人は
困ったように笑った。


「もう
どこも行くなよ。
この子も俺の子だろう?」
遥の頭に
手を置き言った。


アタシは
頷いた。



「もう
置いてかないでくれ。

結婚しよう。」


隼人の言葉
隼人の声
隼人の顔
隼人の手
全部ほんとなのね?




「アタシも
隼人から
離れたくないよ。

本当は会いたかったよ。
触れたかったよ。」
涙が溢れ出た。




「じゃあ
俺と結婚してくれるね?」
アタシの顔を上に向かせて
耳元で
囁いた。



「はい。」
アタシは
涙で前が見えない。



アタシの言葉を聞いて
隼人は
キツくアタシを抱いた。


そして
「ただいま。」
って
隼人が言う。



「おかえりなさい。」
涙声のアタシは言った。
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