君ヘノ思ヒ

優 8  電話の相手

”もしもし?  あのさ。。。    会いたいんだけど、いつならいい??”



今まで、こんな風に自分からヤツを誘ったことなんてない。

それは ”自分は彼女ではない” と言い聞かせ、辛い思いをしないように歯止めをかけていたからだ。




”おう。  明日の夜ならちょうどいいよ。”



こんなに唐突に誘ったのに、驚きもせず、それどころか、”やっぱり俺の所に戻ってきたか” と言わんばかりの自信のある態度。





そう。

私は、優ではなく、ヤツの方を選んでいた。

報われることのないであろう方を。。。





”仕事遅くなるからさぁ、お前、ウチ来るか?”



下心を感じつつも、やっぱり嬉しかった。

ヤツは実家に住んでいる。   実家をばらしたくないほどの距離間ではないことを確信して、小さなことだけど、でも嬉しかった。





本当にこれでいいのだろうか。  優に対する後ろめたさを感じつつも、

”行く行く~♪” なんて、ノリノリのフリをして答えていた。
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