君ヘノ思ヒ

レストラン 8

それから10分。


ドキドキ・ウキウキした時間を過ごした。




”良かったぁ!!  帰ってなかった”



そんな言葉を発しながら彼はやってきた。




こんなチャンスを逃して帰るわけありません!!!


心の中で言う。





そして、私達の『初めまして飲み』が始まった。




ただのナンパと言えば、それまでかもしれない。


でも、私の中では特別だった。 偶然の出会いだった。





彼の名は『亮太』



1コ下の専門学生。


レストランでバイト中だった。




お酒が入ったせいもあってか、私達はすっかり意気投合し、あっという間に時が過ぎた。





”ケータイ番号教えてよ”


帰り際、彼が言った。





”いいよ!”



初対面だろうがなんだろうが、こんな特別な出会いとこんな気の合い方に、教えたくないはずもない。




でも。




私は聞けなかった。




もしも番号を知ってしまったら、きっとかけたくなってしまう。



こんなにカッコイイお兄さんとここまでトントン拍子でいくなんて。。。




向こうは遊びかもしれない。。。






目の前で起きている現実を受け入れていいのかわからず、臆病になっていた。
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