君ヘノ思ヒ

優 2  優とその親友

その頃 優は東京から少し離れた場所で働いていた。  朝早くから夜遅くまで週1の休みで頑張っていた。



だから、ほとんど予定が合わず、電話で話すくらいがやっとだった。

電話は長電話でもなく、くだらない話くらいで終わっていたが、少しずつ優のことを知って心地の良さもどこかで感じていた。



私が夢中になっていた彼の親友とは全く逆のタイプだった。





それから間もなく。



優と、そして私が夢中になっている彼が1ヶ月ほど海外へ行くことになった。

この先、いつ取れるかわからない長期休暇。

偶然とれたなら行くしかないだろってことでの放浪の旅。




私にとっては、少し冷静になれるチャンスだった。




女好きで有名で、彼女もいる人を想い続けるべきかどうか。

彼が私に本気になることはない。  

それは、彼の周りの友達から聞いていた。  どのくらい彼女のことを好きなのかを。



ただ、女好き。

これはきっと本能だ。  理性ではどうしようもなく、いくら彼女の事を想っていても体が動いてしまうんだろう。

って、そんな風に片づけていいのかはよくわからないが。。。



とにかく。

彼は私には本気にならないが、でも、心地よいのだろう。

自分のことを想う女はそうそう手放さない。

そこの所、野生の勘なのであろう。

近づきすぎず、でも常に射程圏内。  そして離れそうになるとうまい具合にリードを引っ張る。




そんなヤツだった。




私は。

この1か月で自分の気持ちに見切りがつけられることを願っていた。
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