クリアネス
「わぁー、可愛い!」
「えー? 誰の子?」
黄色い声を上げる女たちに取り囲まれ、隼人は目をキョロキョロさせる。
「ねぇねぇ僕。お名前は?」
「隼人」
「いくつ?」
「6歳」
「可愛いーっ」
今まで大人の女の人と接したことがほとんど無い隼人は、完全に圧倒されている。
女たちは皆やけに薄着で、きついセッケンの匂いがした。
「ねぇ、店長を訪ねてきたってことは、もしかして……」
「え!? 店長の隠し子?」
「バカ。親戚の子だ」
それまで興味無さそうにしていた成瀬が、口をはさんだ。
成瀬が勤める風俗店の光景は、この日から少しだけ変わった。
悪趣味なショッキングピンクの看板も、汚れの目立つ白い壁も、ブラックライトの照明も、
一見何も変わらなく見えたが、コンパニオンたちの待機室だけは、確かに変化があった。
薄着した女たちの中で、明らかに浮いている少年が一人、入りびたるようになっていた。
隼人だった。