クリアネス
あたしはとっさにカーテンを閉めた。
別に見られて悪いことはないのだけど。
いや、やっぱまずい。
だってあたしは裸だ。
ドギマギしていたら、再び玄関のチャイムが鳴った。
次の客が到着したらしい。
さっき斉藤さんが帰った時、玄関の鍵を開けっ放しにしていたので
あたしは大声で玄関に向かって「開いてますよー」と叫んだ。
「さくらちゃん、久しぶりー」
さっきの客と同じように、こいつもあたしの顔を見るなり、シャワーも浴びずに触れようとする。
あたしはさりげなくそれをかわして、もう一度カーテンの外をそっとのぞき見した。
向かいの事務所にはもう、レオの姿が無かった。
客は窓際に突っ立ったままのあたしの後ろに回り、怪しい手つきであたしの体を抱きしめた。