クリアネス
「隼人、もう寝るよ」
「あーっ、ちょっと待って! これ飲み切るから!」
「……まぁたオレンジジュース?」
電球のひもに手を添えながら、マユミはあきれたように言って隼人を見下ろした。
「寝る前にそんなの飲んで。おねしょしても知らないよ」
「しねーよ! ガキじゃないんだから」
「一丁前の口利くようになってきたねぇ」
隼人はコップに半分ほど残っていたオレンジジュースを飲み干すと、飛び込むように布団に入った。
「……じゃあ電気消すよー」
マユミの声と共に六畳一間の部屋は闇に包まれる。
この瞬間が、隼人は好きだった。
先に隼人が入っていた布団に、そろりと柔らかい肌が潜り込んでくる。
自分よりずっと大きい体に抱きしめられ、隼人は目を閉じる。
そして、自分にはない胸もとのふくらみに、そっと手を延ばす。
「ほんと隼人はオッパイ好きだねぇ」
暗闇の中で、マユミのクスクスと笑う声が響いた。
「なんか落ち着くんだ。マユミお姉ちゃんのオッパイ触ってると」