クリアネス

「隼人、もう寝るよ」


「あーっ、ちょっと待って! これ飲み切るから!」


「……まぁたオレンジジュース?」



電球のひもに手を添えながら、マユミはあきれたように言って隼人を見下ろした。



「寝る前にそんなの飲んで。おねしょしても知らないよ」


「しねーよ! ガキじゃないんだから」


「一丁前の口利くようになってきたねぇ」



隼人はコップに半分ほど残っていたオレンジジュースを飲み干すと、飛び込むように布団に入った。



「……じゃあ電気消すよー」



マユミの声と共に六畳一間の部屋は闇に包まれる。


この瞬間が、隼人は好きだった。



先に隼人が入っていた布団に、そろりと柔らかい肌が潜り込んでくる。


自分よりずっと大きい体に抱きしめられ、隼人は目を閉じる。



そして、自分にはない胸もとのふくらみに、そっと手を延ばす。



「ほんと隼人はオッパイ好きだねぇ」



暗闇の中で、マユミのクスクスと笑う声が響いた。



「なんか落ち着くんだ。マユミお姉ちゃんのオッパイ触ってると」


< 113 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop