クリアネス
「……先生」
「ん?」
「ご心配おかけして、申しわけありません」
「あ、いや、わかってくれれば……」
「だから僕のことはもう、クラスから外してもらって結構ですので」
「……は?」
面食らう担任に頭を下げ、職員室を後にした。
隼人はそのまま電車に乗り、いつもの店に向かった。
やはり自分の居場所はあそこだと思った。
あそこなら、自分は独りじゃない。
寂しくない。
「……あれ? マユミさんは?」
待機室に入るなり、隼人は部屋を見回してたずねた。
仕事に出てるのかと一瞬思ったが、いつもマユミが着てくるジャケットが、ハンガーにかかっていなかった。
「あー、マユミちゃんね、無断欠勤だって」
ペディキュアを塗りながら、アキコが言う。
「珍しいよねー、マユミちゃんが無断で休むなんて」
隼人は特に気にも留めず、冷蔵庫からオレンジジュースを取り出してコップに注いだ。