クリアネス

そして電話を置いたボーイに


「何?」


「マユミちゃん、何だって?」


「元気そうだった?」


と、質問ぜめを浴びせるコンパニオンたち。



隼人はなぜか緊張を覚え、息をのんだ。



「マユミちゃん、店辞めるって」



待機室で、どよめきが起こった。



「えーっ? なんでいきなり?」


「子供出来たんだってさ」


「まじでっ!?」



突然の朗報に、歓声が上がる。


皆の顔に笑みが宿った。



ただ一人、隼人を除いては。




……子供が出来る?



その言葉の意味が、隼人にはわからなかった。



どうゆうことかは、わかってる。


何をすれば出来るのか、ということも。



けれど、思考が停止して、うまく整理することができなかった。



「隼人!? どこ行くの」



隼人は黙って待機室を出た。


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