クリアネス

あたしは軽くキスをして、客の上に自分の体を重ねた。


耳もとで低い吐息を聞いた。


それと同時に



――ガチャ。



玄関が開いた音も、聞こえた気がした。


そして、



――バンッ!!




静寂を破るように、背後で響いた音。


風を切るような勢いでこの寝室のドアが開かれた。




え……

まさか警察?


冷や汗が、毛穴という毛穴から吹き出した。


ちょっと待ってよ、まだギックリ腰になると決まったわけじゃないんだから過失は成立しないよ。

いや、それ以前に売春は犯罪だ。



振り返ると、レオがいた。


彼は刑事じゃなくて出張ホストだ。

ほっとした。


……じゃなくて、なんでレオがいるの?


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