クリアネス
石垣島は思っていたより広いらしく、途方に暮れた。
「とりあえずレンタカーとか借りてみる?」
と提案すると。
「え? さくら、免許持ってんの?」
「いや、持ってない。レオは?」
「俺も持ってねーよ。てゆうか…」
レオは鼻の頭をかきながら、目をそらした。
「俺、まだ車の免許取れる歳じゃないし」
……はい?
「え、ちょっと待って。じゃああんた、もしかして」
「はい、まだ17歳です」
「えええっ!?」
思わず大声を上げるあたし。
あまりの騒ぎっぷりに、周りの観光客たちが、いったい何事かとこちらを見た。
それすら気にせず、あたしはレオを問いつめた。
「17って、ほんとに、じゅうなな?」
「うん。ぴっちぴちのセブンティーン」
「だって、それじゃホストなんかできないでしょ!?」
「大丈夫だよ。経営者が身内だし」
その言葉に、あたしは思わず黙り込む。
そっか……。
そうだよね確かに。
経営者の成瀬は、血のつながった実の伯父さんで、この子の育ての親でもあるんだ。
あたしが成瀬と接触したことをレオは知らないはずだから、あたしはそれ以上レオを問いつめることはしなかった。