クリアネス

空が、すごくきれいだ。



青──。


余分なフィルターを外したみたいに、完全にクリアな青。



高い建物が少ないせいだろうか。


その青が、ぐるりとあたしたちを包むように地上とつながって

まるでこの道の延長線上にあるような気持ちになる。



ほんと……こんなきれいな空、見たことないよ。



「こんなきれいな空、見たことねーよな」



隣でポツリと言ったレオに、あたしは目を丸くした。



「………」


「ん? どうした? 人の顔じっと見て」


「……今の、テレパシー?」


「は? 何言ってんの、お前」



首をかしげて笑うレオ。



そりゃあ、この空を前にすれば、誰だって同じこと考えるのかもしれないけど……。


それでも、一瞬でも同じ気持ちでいられたことが、めちゃくちゃ嬉しかったんだよ……。



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