クリアネス

グラスボートは最高だった。


地上とはまるで別世界。


海の中にあれだけの色が存在するなんて、ビックリだ。


まるで競い合うように、色とりどりの魚たちが、敷き詰められたサンゴ礁の上を、自由に泳ぎまわっていた。


沖縄の海は世界でも有数のサンゴの楽園で、ダイバーの憧れでもあるんだって。


グラスボートのお兄さんが教えてくれた。



あたしとレオはその後も、一日中忙しく遊んだ。


海岸めぐりをしたり、岬に行ったり、山を見たり。



楽しくて、楽しくて

ずっと笑っていた。



隣を見ると、レオも笑っている。


いつも、部屋の窓から見ていた笑顔より、もっと澄んだ瞳で。



人って本当に楽しい時、こんな顔して笑うんだ。



レオの向こうには、相変わらずきれいな沖縄の空。


まるで生まれたばかりのように、純粋なブルーが広がっている。



「すごいね、空が青だね」


「うん」



首をめいっぱい伸ばして空を見上げ、その澄み切った青さに見入る。


あたしたちは、いつの間にか手をつないでいた。



「東京の空は、どんなに晴れててもこんな色にならないもんね」


「うん」



あたしはつないだ手に力を込めた。



レオも同じように、握り返してくれた気がした。





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