クリアネス


「ありがとうございました」



適当な場所でタクシーから降ろしてもらい、あたしたちは今日の宿を探すことにした。


もう夕方だというのに、空はまだまだ明るい。



「日が長いね」


「南西諸島だからね」



他愛ない会話をしながらフラフラ歩いていると、あまり舗装されていない小道を見つけた。



「行ってみよっか」


と好奇心で目を輝かせながら言うレオに、あたしは笑顔でうなずいた。



伸び放題の草をかき分け、進んでみる。



「……うわぁ」



思わず歓声を上げていた。



手つかずのビーチ。


たっぷりの緑に守られ素朴な美しさを守ってきた、そんな自然の姿があった。



西向きのビーチは、これからまさに夕暮れ時の一番きれいな時間を迎えようとしていて

太陽は徐々に海へと迫っていた。


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