クリアネス
あたしたちは、たまたま見つけたペンションタイプの宿に泊まることになった。
豪華ではないけれど、敷地内には緑が多くて海も近い。
最高のロケーションだ。
「疲れたなー」
全力で走り切った後のマラソン選手みたいに、レオはベッドの上で体を崩した。
「お風呂入ってくれば?」
何気なしに放った自分の言葉に、あたしは赤面する。
……別に、何も意識するようなことじゃないんだけど。
お風呂なんか毎日入るもんだし。
だいたい、“そんなこと”をするために来たんじゃないし。
ああでも、もしかしたらレオにプレッシャー与えちゃったのかなあ。
悶々と考え込んでいると、ドアをノックする音がした。
「はい?」
恐る恐るドアを開けてみる。
「……?」
知らないカップルが立っていた。
たぶんあたしより少し年上で、男の人は、短いツンツン頭。
女の人は、背が低くてすっごく細身。
そして二人の手には、なぜか大量の缶ビール。