クリアネス


約束の日曜日。


ミカは集合時間より1時間早めにうちに来て、あたしが化粧をしている間、器用に髪を巻いてくれた。



ずっとまともに食べていなかったから、だいぶほおがこけていた。


それをチークでごまかして、アイラインを引きマスカラを重ねづけする。



以前と変わらないあたしが、鏡の前でよみがえった。







待ち合わせ場所では、一台の車が止まっていた。


運転席にはコウタロウ。



「……久しぶり」


無表情であいさつすると


「久しぶり」


彼特有の、穏やかな笑顔が返ってきた。



車の中で待っていた皆も、その様子を見て嬉しそうに微笑んでいる。




あたしたちは、元に戻ったんだろうか。


何事も無かったかのように。







高速を走り、1時間ほどで到着した。


埋立地を利用したというこのバーベキュー施設は、道具の貸し出しなんかもやっていて

たくさんのグループで賑わっていた。



すぐ近くには海があり、風が心地いい。


何隻かヨットが停まっているのが見えた。

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