クリアネス
最近のあたしは、泣いてばかりだ。
こんな姿を見たら、レオは何て言うかな。
「お前って、ほんと子供だな」
そう言って笑うんだろうか。
だけどこの止まらない涙だけが、今のあたしにとって生きているという唯一の証。
電車はレオの住む町に近づいていた。
「具合、悪いんですか?」
心配そうにたずねてくれるおじいさんに、あたしは首を振る。
「大丈夫です……もうこの駅で降りますから」
そうですか、とおじいさんは微笑んだ。
遠ざかっていく電車の音を背後に感じながら、ふと思った。
なんで、降りてしまったんだろうと。
こんなことしても、どうにもならないってことくらいわかっている。
だけどどうしても、もう一度会いたくて。
レオとつないだ手。
あれは離しちゃいけないものだって、やっぱり思えてならないから。
これが最後。
何度もそう唱えながら、携帯を押した。
不思議と恐くはなかった。
『―――』
何度目かの呼び出し音の後、突然電話がつながった。
だけど、声はない。