クリアネス

「……レオ?」


『………』


「未練がましくて、ゴメン。もう会わない方がいいって、わかってる」


『………』


「けど、どうしても会いたくて。今、駅にいるの」



そこで、電話が切れた。



ツー、ツー、と、むなしい音だけが流れる。


終わりを告げる音だった。



あたしはそのまま、しばらく耳もとから携帯を離せずにいた。




「やっぱり……ダメだったかぁ……」



自分自身を納得させるかのように、つぶやく。


本当に、終わってしまったんだ。



足に力が入らなくて、動くことができなくて

あたしは独り立ち尽くしていた。



太陽は高く昇りかけ、蝉が鳴き始めた。



ランドセルを背負った子供たちが、駅前を通り過ぎていく。



レオが育った町。


もう二度と、この町に来ることはないだろう。



あたしはおぼつかない足取りで切符売り場に向かった。



そして、自分の駅までの切符を買おうとした、その時。



「――」



突然、強い力で

後ろから抱きすくめられた。



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